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5月19日(金)雨 国交省ノーコメント

 朝から四国は大雨である。吉野川の河川整備計画を話し合うため,高松市の国交省に向かう。道中あすの「吉野川まるあそび」が開催できるかやきもきしていたせいか,高速道を乗り間違えたり降り間違えたりと今日は朝から調子がはずれ気味である。
 四国地方整備局では河川計画課舘課長が応対した。ぼくは冒頭言った。
「かつてのダム審の二の舞にならないよう,整備計画づくりは最初の段階から住民参加で準備会,流域委員会と進めてほしい。こう提言してもう5ヶ月になります。今日はその返事を聞かせてもらいにきました。」
 舘さんはぼそぼそと「まだ決まっていません。方針は近々出します。」と言ったきりで内容についてはなにもしゃべらなかった。参加者7名あきれて顔を見合わせる。5ヶ月前とまったく同じではないか。いったいあなたがたは5ヶ月間も何をしていたのだ。
「いろいろ調整がありますから」と言うので,
「では提言意見はどこからでているのか」と聞くと,
「提言はみんなの会とシンポの一件学者グループの一件の計2件です。あと連絡調整会議で県から意見を聞いています」と言う。徳島県は国交省の方針を待っているだけなので,なんのことはない。整備計画作りに対する意見というのは2件で,しかも2件とも住民参加で準備会や流域委員会を設置せよ,という提言だったわけだ。これでわかった。「調整」というのは四国地整内部のことだったのだ。実は,四国地整はすでに「肱川方式」という流域委員会の実施例を持っている。この肱川流域委員会というのは,日弁連や多くの研究者,市民団体から批判され,「全国最悪の流域委員会モデル」として一躍有名になったもので,かつてのダム審と同じ住民参加を嫌うご用審議会といってよい。2件の提言とは全く違って、新河川法の住民参加型とはほど遠い代物だ。四国地整はどっちをとるか迷っているだけではないのか。そもそもあなたがたは,ダム審を反省してあなたがたの先輩である建設省徳島工事事務所が2001年にまとめた「明日の吉野川の市民参加のあり方を考える懇談会」の最終提言「第十堰問題のいい解決に向けて」を読んだことがあるのか。
 参加者7名は若いのにのらりくらりと逃げる舘さんに次々と質問した。
「でも新しい治水計画の基準データとなるはずの観測史上最大の2004年洪水の解析はしているはずですよね」
「はい解析結果はでています」と舘さんは不機嫌そうに答えた。
 可動堰計画は,吉野川中下流のなかで第十堰周辺が最も危ない,という主張から生まれた。ところが中央橋16700トン/秒という既往最大洪水となった2004年23号台風では,旧建設省の主張とはうらはらに第十地点の水位は計画高水位に2m近い余裕があり,第十堰もこの大洪水にびくともしなかったのだ。他方吉野川流域では各所ではんらんし1289戸の床上浸水被害が出た。第十堰をめぐる旧建設省の主張は訂正してもらわなければならない。新しい洪水計画を作る大前提として,この事実をきちんとふまえてもらわなければならない。ことを勝ち負けやメンツの問題にしてもらっては困るのだ。都合の悪いデータであっても出してもらわなければ困るのだ。約1時間の押し問答のあとお昼のチャイムが鳴ってこの日の話しあいは終わった。私たちはどどっと疲れたが,舘さんが迷いながら漏らした「洪水解析結果」を情報公開請求して国交省を後にした。もちろんこのままでは終われない。
 
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経 緯  
1昨年12月7日、吉野川河川整備基本方針の策定が、住民そっちのけでおこなわれ、しかも可動堰計画の必要性をにおわせる文言がみられたことから住民無視の古い河川行政を危ぐした住民側が、河川局長と面談した。

2渡辺河川局長は、吉野川の河川整備計画につき、以下3原則を約束した。
①整備計画は「住民意見の反映」「徹底した情報公開、住民参加」で作る
②第十堰は治水文化両面から考える
③森林と一体で河川整備を考える

3続いて21日,四国地方整備局に流域委員会と準備会の設置を提言した。舘河川計画課長は河川局長発言の具体化を責任をもってやると言明した。しかし内容についてはなにも答えず次回に意見交換をおこなうことを約束した。(それが今日の話しあい)
by himenom | 2006-05-20 00:37
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