日本の水問題をリードしてきた水郷水都全国会議という集まりに行ってきた
。今年の開催地は浜松だ。早くからぼくは行こうと決めていた。天竜川が見たかったのである。この川は戦後日本の象徴といってもいい。 まず河口部を見た。ここに日本三大砂丘のひとつ中田島砂丘がある。日本とは思えない雄大さだ。美しい。 が、海岸浸食が進んでいる。どんどん砂浜が荒波で削られてなくなっているのだ。昭和40年200m幅以上あった砂浜はいま平均50m幅しかなくなってしまった。 「あと1~2年でどうなるかわからない」案内の女性は悲しそうな声で言った。 原因ははっきりしている。天竜川のダムが砂利の供給を止めてしまったからである。 隣接する馬込川河口をみると削られた砂の中から古タイヤやビニールが顔を出している。なんと、ニッポンの高度成長期、広大なこの砂浜はゴミの処分場にされていた。枯れかけた松林の下は砂でなくてゴミなんだそうである。総量13万トン。 さすがに恥ずかしかったのか、ヒトは松林を作ってゴミを隠してしまった。その下に膨大なゴミがあると誰が思うだろう。そのくらいここの風景は美しい。 そして30年のときが流れた。完全犯罪の成立か。と思ったとたん、ゴミたちが現れ始めたのである。ゴミたちをよみがえらせたのはダムであった。「暴れ天竜」の流れを止めた巨大ダム群は、水だけでなく砂を遠州灘に送るのも止めてしまった。高度成長を支えたダムは、公平にもその陰の部分をあざやかに見せてくれたわけである。 で、私たちは100年先のためにどうすればいい、と遠州灘の強風にあおられながら、参加者たちはもくもくと美しい砂丘をあとにしたのだった. (続く)
by himenom
| 2004-12-01 03:10
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