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12月21日(水)晴 四国地方整備局と意見交換

高松の四国地方整備局で河川計画課長と約1時間の意見交換をした。次の3点を確認した。

①河川局長の7日の発言通りに取り組むこと
②今後も事前の話し合いに応じること
③整備計画の議論に際しては、第十堰の文化的価値やせき上げの再計算、森林の保水力 も検討対象になること 

四国地整は、基本的に当方の意見を聞くだけだったが、年内に予定されていた徳島県との連絡調整会議が急遽延期されたことから、当初の原案が見直されている可能性が高いと見た。この日の私たちの意見がどう反映されるか、引き続きしっかりと注目していかなければ。

        提出した「私たちの意見と要望」より(抜粋)
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12月7日河川局長との懇談結果について

渡辺和足河川局長から新河川法による河川事業について説明を受け、別紙の「私たちの意見と要望」について、有意義な意見交換をさせて頂き、吉野川における新たな河川行政への転換を予感させる示唆に富んだご回答も頂いた。

以下は河川局長の発言要旨である。(文責:当会)

①第十堰を治水だけで論じることはしない。第十堰のもつ文化的価値と治水問題を総合的に考える。
②「第十堰の治水上の支障」の意味から「ハイウオータを超えるかどうかの議論はのけて」いろんな選択肢を考える。
③基本高水24000m3は整備計画で議論する目標ではない。森林の保水力を全て否定しないが森林で全て代替もできない。森林と一体で河川整備をする。
④整備計画作りのキーワードは2つ。一つは「住民意見の反映」もう一つは「徹底した情報公開と住民参加」である。
⑤流域委は全て整備局マターである。私が言えるのは考え方だ。私からも伝えるので具体は地方整備局と話してください。

とりわけ河川整備計画作りにおいて2つのキーワードを強調されたのが印象深い。私たちも心からこれに賛同する。
総論と各論が相反したダム審の不幸を繰り返してはならない。まず流域委員会の設置において、ダム審の教訓を生かした新しい吉野川方式を打ち立てるべきである。そのためであれば私たちは協力を惜しまない。

河川整備計画づくりに向けての提言と要望

1 吉野川の流域委員会を作るにあたっては,行政住民が知恵を出し合い,過去の経験を生かして,全国に対しても将来世代に対しも誇れるような吉野川方式を編み出してもらいたい。

2 そのためには,まずボタンをかけるときがもっとも大事である。1995年設置されたダム審の人選や運営に対する反省をふまえ,流域住民の意見を反映できるよう特に留意することが必要である。住民参加は「形だけの応答」に終わるのではなく「意味ある応答」でなければならない。

3 2001年,国交省徳島事務所の「明日の吉野川と市民参加のあり方を考える懇談会」が,最終提言で「計画づくりに入る前に,事業の目的,事業スケジュール,市民参加や合意形成の方法・ルールについて十分議論し,市民,行政が互いに納得して計画づくりを進めることが重要です」と述べているように,流域委員会に先立つ準備会の設置が必要と考える。

4 同最終提言は「行政と市民,流域各地域の間に立って中立的に計画をまとめる組織として,行政からは独立した検討委員会として位置づけるべきだと思います」と述べている。したがって、上記の準備会および流域委員会の設置に際しては,実効的な合意形成を達成するために、独立性の確保が必要である。

5 さらに同最終提言は、委員の選定方法につき「委員の構成や選考基準、選考過程等に関する市民意見を集約し、できるだけ多くの人が納得のできる選定方法を考える。」として、公正な選定を行うための選定委員会の設置を提唱している。実効的な合意形成を達成するうえで、多くの審議会が抱える最大の課題が委員の人選であることを考えると、上記準備会と流域委員会の設置に際しては、この提言をぜひ採用すべきと考える。                                
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by himenom | 2005-12-22 09:58

12月7日(水)晴 国土交通省河川局長様

2005年12月7日
国土交通省河川局長 様

NPO法人吉野川みんなの会   代表理事  山下信良
吉野川シンポジウム実行委員会 代表世話人 姫野雅義

私たちの意見と要望  

プロローグ 第十堰をめぐる新しい状況が生まれていることに配慮頂きたい

1 2005年3月,国交省徳島事務所は,第十堰の石組み破損の原因となっていた樹木群の伐採事業を地域住民と協働で実施し,10月からは伝統の青石を使った第十堰の石組み補修工事を開始した。このことは高く評価できる。

2 2004年2月,国交省四国地方整備局は,「21世紀に残したい地域の誇るべきみずべ空間」として「四国のみずべ88カ所」を選定し,第十堰をその一つに決定した。

3 2004年4月,徳島県知事は国交省四国地方整備局に対し,可動堰以外のあらゆる方法を検討することとあわせて、「第十堰を核とした地域作りができるよう配慮すること」を要望した。

4 2005年6月,文部科学省は,全国76カ所の地域子ども教室推進事業の一つとして,第十堰の豊かな自然と歴史を生かした「あそびの達人教室inだいじゅうぜき」を認定。地域のお年寄りがこどもたちへ川文化を伝える交流拠点として第十堰は大きな役割を果たしている。

5 観測史上最大の2004年台風23号洪水は,各地に多大な被害をもたらしたが,第十堰周辺の堤防は十分な余裕があった。

(1)吉野川整備基本方針を整備計画に活かすため住民も一歩を踏み出す

1 基本方針の決め方には問題がある。内容にも異論はある。だがもっと大事なことに注目したい。それは,開発と工事の時代を背負った吉野川旧工事実施基本計画に取って代わる、新河川法の理念を吉野川に体現するための新方針が誕生した,という事実である。23年ぶりのことである。

2 新方針は ①自然豊かな河川環境と河川景観を保全継承し ②地域の個性や活力を活かした歴史や文化が実感できる川づくりをする,という吉野川の基本目標を打ち出した。これに異存はない。ぜひ実現させたい。そのためにはどうすればいいか。

3 新河川法の理念と新方針の上記目標を、河川整備計画に具体化しなければならない。環境を守り総合治水を行うためには住民参加が不可欠であることを認識し、私たち住民は、大事のためには小事にとらわれず,勇気をもって新しい一歩を踏み出したいと思う。

(2)河川整備計画づくりに向けての提言と要望

1 吉野川の流域委員会を作るにあたっては,行政住民が知恵を出し合い,過去の経験を生かして,全国に対しても将来世代に対しも誇れるような吉野川方式を編み出してもらいたい。

2 そのためには,まずボタンをかけるときがもっとも大事である。1995年設置されたダム審の人選や運営に対する反省をふまえ,流域住民の意見を反映できるよう特に留意することが必要である。住民参加は「形だけの応答」に終わるのではなく「意味ある応答」でなければならない。

3 2001年,国交省徳島事務所の「明日の吉野川と市民参加のあり方を考える懇談会」が,最終提言で「計画づくりに入る前に,事業の目的,事業スケジュール,市民参加や合意形成の方法・ルールについて十分議論し,市民,行政が互いに納得して計画づくりを進めることが重要です」と述べているように,流域委員会に先立つ準備会の設置が必要と考える。

4 同最終提言は「行政と市民,流域各地域の間に立って中立的に計画をまとめる組織として,行政からは独立した検討委員会として位置づけるべきだと思います」と述べている。したがって、上記の準備会および流域委員会の設置に際しては,実効的な合意形成を達成するために、独立性の確保と委員の選任について特に留意して頂きたい。
                                                       以上
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by himenom | 2005-12-08 11:09

12月1日(木) 晴 吉野川水系河川整備基本方針を活かす

  11月18日吉野川水系河川整備基本方針が策定された。 9月16日に始まった審議会はわずか3回,実質審議時間は2時間足らずで,吉野川の長期方針を決めてしまった。
せっかくみんなの会やシンポが,ビジョン21委報告書を提出して,広く議論を,と呼びかけたのに,説明の機会さえないまま不採用となった。 可動堰化のきっかけとなった基本高水毎秒24000m3は変わらず,第十堰もなにやら含みの残る玉虫色となった。 とくに住民参加の面では,吉野川の10年間を振り返ると,逆に後退した感もある。 そこでぼくは,なぜそんなにあわてるのか,と国交省を批判した。
だがステージは次へ移ったのだ。 この基本方針を受けて、さまざまなせめぎあいが予想される整備計画づくりがまもなく始まる。 そこで、この基本方針(新方針)は、整備計画づくりにどう影響するのか、いやどう活かせばよいか,という面から見ておく必要がある。

 この新方針策定は,1982年可動堰計画の発端となった改訂工事実施基本計画(旧計画)が策定されて以来23年ぶりのことである。 なぜ新方針を作らなければならなかったか、それは1997年の河川法改正にある。 
新河川法は河川事業に環境保全を義務づけた。 「環境保全」は「河川生態系の保全回復」と言い換えてもいい。 ダムなど治水利水中心の河川事業が,逆に将来世代の生存基盤を脅かす面を持ってきたことへの反省からである。
治水方法も変わった。 ダム中心の治水は、限られた条件の下では力を発揮するが、想定外の洪水に対しては逆に壊滅的被害のリスクを持つ。 そこであふれても壊れない堤防や被害を減らすことに重点を置いた総合治水を導入した。 「安全」の考え方を「机上の限定的な安全」から「持続的本質的な安全」へ転換させたのである。
さらに新しい方法論も加わった。 住民参加である。 環境を守り,総合治水を行うためには、行政だけでは不可能という理由による。 「住民参加」は、単なるお題目ではなく、事業の成否を分けるものとなった。
今回の基本方針の策定とは,このような新しい河川事業への転換を,吉野川でいよいよ具体化するための基本的事項を決める,ということだったのである。
 ではどう変わるのか。 新旧の方針を読み比べてみた。

 まず名称が違う。 旧計画は「吉野川水系工事実施基本計画」だが,新方針は「吉野川水系河川整備基本方針と整備計画」だ。 「工事実施」が「河川整備」に変わったのは事業目的が変わったからである。 旧計画の目的は,吉野川水系水資源開発基本計画から始まって新産業都市建設基本計画など9つもの開発計画との調整を図り,工事を実施する,となっている。 旧計画には開発やら工事やらがなんと多いことだろう。 ここを読むだけで,なぜ吉野川がコンクリートで覆われるのかがよくわかる。
 では新方針はどうか。 ①自然豊かな河川環境と河川景観を保全継承し ②地域の個性や活力を活かした歴史や文化が実感できる川づくりをする,のが目標だ。 そのために ③関係機関や地域住民と情報共有,連携強化して ④治水利水環境に関わる施策を総合的に展開する,という。 新旧目的の違いを一口で言えば,河川の「開発工事」から河川の「保全利用」への転換,であろう。 この総論部分は悪くない。活かしたい。

 目的が違えば何をするかも当然違ってくる。 旧計画では,築堤などの河道工事もするが,なんといっても「洪水調節を行う多目的ダム(4基)を建設する」のが,洪水対策の中心であった。 一方,新方針の洪水対策は「流域内の洪水調節施設」で行う。 具体的には,ダムの利水容量や堆砂容量を治水容量にあてるなど「既存施設の有効活用」で行うというのだ。
新たに水害防備林の整備・保全や堤防強化が盛り込まれたのも評価できる。 ふつうに読めば新規ダム建設は見直すと言うことだろう。
  参考になるのが2002年2月15日閣議決定された「吉野川水系水資源開発基本計画」(フルプラン)である。 1984年から2000年までの開発型の前計画を次のように変えた。   ①需要抑制など水利用を合理化して ②水需要の伸び率を下方修正し ③新規ダムを建設せずに安定的利水を可能にする。
今回の新方針により,治水利水とも,できるかぎり新規ダムは作らない方向性が打ち出されたと言っていいのではないか。 ならばその方向性を固め、そのための具体策に力を注がないといけない。 毎秒24000m3の基本高水は神棚に鎮座していてもらうためにも。

 では第十堰の可動堰化計画はどうか。 旧計画には「既設固定堰の改築を行って洪水の安全な流下を図る」(利水面では「第十堰の建設」)と書かれていた。 わずか1行だ。 これが全国的に有名になったあの吉野川可動堰計画の根拠なのである。 「第十堰改築に関する技術報告書」(95建設省四国地建)ではこのくだりを次のように説明していた。 「計画高水流量18000m/s(第十堰地点では19000m/s)を流下させるためには,これを改築することが必要であり,既設固定堰の改築として正式に工事実施基本計画に位置づけた。」
新方針が採用した表現はこうだ。 「治水上支障となる既設固定堰については,必要な対策を行い,計画規模の洪水を安全に流下させる。」 これはどういう意味だろうか。 旧計画の「改築」が,新方針では「必要な対策」に変わっているため,改築をやめて補修にした,とも読める。 一方第十堰は治水上支障があり、その「対策」の一つとして「改築」も含むと解釈すれば,可動堰再浮上はありうる,となる。 表現はまことに玉虫色なのである。
玉虫色になるのはせめぎ合いがあるからである。 住民の審議会初傍聴。ビジョン21報告書の提出。 新聞世論などの批判。 これらが第十堰を治水上の障害物と断定するのを防いだ。 そして10月26日の河川分科会に出席した飯泉知事は ①まず可動堰以外での検討②第十堰の応急補修 ③第十堰を核に地域作り,を要望した。 知事本人の出席は徳島だけだった。 国交省に与えた影響は大きかったに違いない。

こうしてみると,新方針には旧計画から変わるべき大きな方向性が現れているのではないだろうか。であれば、この方向転換(総論)の流れを、整備計画(各論)にしっかりと具体化させることが大切なのだ。 おなじみの総論と各論のずれを防ぐためにこそ,この新方針を積極的に生かすべきである。 新方針が古い考えの裏付けのために使われてはいけない。
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by himenom | 2005-12-01 21:42