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3月24日 宮川村「森林施業が崩壊・土石流の発生に及ぼす影響」

日曜日、昨年21号台風で大きな土砂災害に遭った三重県宮川村に行った。テレビで山が崩れ落ちる衝撃的な映像を見た人も多いはずだ。そこが宮川村である。徳島から車で6時間もかかるのだが「森林施業が崩壊・土石流の発生に及ぼす影響」という講演タイトルについ釣られてしまったのだ。

講師のロイ・サイドル京大防災研究所教授の話を聞きながら災害地を歩く。治山ダムが軽々と
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吹っ飛んでいる。「治山ダムを作ると被害はかえって大きくなる。」と教授は言う。だから「危険な場所に住まないことだ。移転費を出してあげればいい。アメリカではそうしている。」
なるほどそのとおりだ。

宮川村は吉野林業の流れをくむ村だ。吉野林業の特徴は密植と間伐だそうだ。間伐を繰り返し年輪の密な良質の材にする伝統の技である。密植とは「1㌶に何本植えるんですか」と聞いた。最初の人は6000本だといった。徳島では3000本が標準と聞いていたので「えっ」と驚いていたら、別の人は8000本だという。さらに多い山は12000本もあるよと聞いてぼくは絶句した。

b0050788_2163699.jpgこれで間伐ができなくなれば山は持つまいと思ったのである。昨年宮川村ではなんと1000カ所をこえる崩壊があったという。だがサイドル教授は間伐手入れによる森林の防災機能の向上には慎重な姿勢を崩さなかった。深刻な山の現状に森林水文学が応えられないことにぼくはすこしがっかりした。

b0050788_216533.jpg金子さんは1年前から林業に取り組み始めた青年である。「森林管理と災害防止の関係が、科学的にはまだ解明不足ならば、まずはその事を実証できるような山造りを考えていきますよ」と意欲的なのが心強い。そうそうすべては現場から始まるのだ。宮川村には川の学校のスタッフだった「ケンポー」こと山口くんもいる。前夜、すばらしい山の写真をいっぱい見せられたぼくは、来年はアメゴ竿をもってくるぞ、とひとりにやにやしながら車に乗り込んだのであった。
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by himenom | 2005-03-24 02:23

武庫川の流域委員会

武庫川で「緑のダム」の勉強会があった。
「緑のダム」に対する関心はここでも高く、西宮北口アクタ東館には百人近く集まった。
おどろいたのは質疑応答のテーマがすでに是非論を超えていたことだ。
多くの人が、どう政策化していけばよいか、をぼくに聞きたがったのである。

だが、これは内心ぼくのほうこそ質問したいテーマであった。
吉野川ではまだ手探りの域をでていないからである。
可動堰をめぐる政治的対立構造とか、縦割り行政とか、専門分野の研究の遅れとか、ついつい言い訳を考えている自分に気がついて、いかんいかんと苦笑いした。

このように武庫川で政策論への関心が高いのは武庫川流域委員会が活発に動いているためだ。流域委員の方々に話を聞いた。ユニークなのは、ここの流域委員会は河川整備基本方針についても議論していることである。つまり百分の一とかの治水安全度や基本高水流量など河川計画の骨格部分の議論に立ち入っているのである。
全国でもあまり例がないのではないか。

委員長の松本さんは「かんじんな部分にこそ住民がかかわらないとね」という。
そして「住民間の利害調整は行政しかできない」論を超えなければ、と言った。
今日の勉強会を主催した武庫川円卓会議の奥川さんも
「市民で研究費を集めて武庫川ダムへの対案を作った。県は住民の望む委員会方式を飲まざるをえなかったんですよ」と言った。
淀川流域委員会に続いて、ここでも新しいモデルができつつあるようだ。
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by himenom | 2005-03-13 02:15

長良川のアユ、最盛期の2割に 河口堰運用10年

 一九九五年七月に本格運用が始まった長良川河口堰(ぜき)=三重県桑名市=は今年、十周年を迎えるが、上流の岐阜県の同川水系の二〇〇三年のアユ漁獲量が、せき建設前のピークだった一九九二年の約五分の一にまで落ち込んだことが、岐阜県の調査で分かった。せきを管理する水資源機構と国土交通省は「せきの影響はない」とするが、水揚げ量から「激減した」と指摘してきた川漁師や鵜匠(うしょう)らの声が裏付けられた形。一部の専門家は「減少の事実を認めて、対策を講じないと手遅れになる」と警鐘を鳴らしている。

 岐阜県は、長良川と支流の九つの漁協の申告漁獲量をまとめてきた。それによると、一九七六(昭和五十一)年の漁獲量は三百五十五トン。ピークの一九九二年は千二十九トンあったが二〇〇三年は二百七トンにとどまった。人の手による放流の量は一九九一年から二〇〇三年までほぼ横ばいという。

 一方、水機構はせきの魚道と、約四十五キロ上流の岐阜市でのアユの遡上(そじょう)状況の調査をしており、このデータを基に、識者らによる中部地方ダム等フォローアップ委員会は二〇〇三年度も「アユの遡上は平年並みで、環境面で大きな変化はない。予測の範囲内で問題はない」と結論づけた。

 ただ、遡上のデータはせき完成後のもの。長良川下流域生物相調査団長の山内克典岐阜大教授(動物生態学)は「せきの建設中から既に影響が出ていた可能性がある」と指摘し、現象の原因として「せきができて、流れがない湛水域が現れたこと。孵化した稚魚が川を下るのに日数がかかるようになり、えさが乏しいため死亡率が高まっている可能性がある」と説明する。
中日新聞3月10日
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by himenom | 2005-03-10 15:50

30年の年輪

b0050788_0202495.jpg上堰のアカメヤナギの伐採をした。参加者は50名。のこぎりやなたを腰にぶら下げた本格派もいれば、なかにはチェーンソーを持参のおじさんもいる。むろんぼくのようになにももたずに駆けつけたものもいて、国交省から鋸の貸し出しもある。

b0050788_0212687.jpg 最高齢は80歳のおじいさんである。「吉野川はきれいけんな。可動堰はいかん。なあ会長はん(ぼくのことらしい)」彼は30年にわたって吉野川の水門を管理し表彰を受けたばかりだという。「すごいですねえ。こんなに関心がたかいんですねえ。」国交省の職員氏も驚く熱気である。4時間の作業で刈りとられたアカメヤナギがうずたかく積み上げられた。

b0050788_0214862.jpgチェーンソーで薄くハムのように切られたアカメヤナギの「一枚」を記念にもらってきた。30の年輪がある。30年前と言えば1975年。早明浦、池田ダムが完成したばかりである。本来根付くはずのなかった上堰の石畳に、彼が根を張れたのはダムのためだった。だから人はこれからも根っこから芽吹くヤナギとつきあうことになるのだ。
彼が大木になったこの30年間は長い第十堰の歴史のほんのひとこまである。だがこんな時代はもう二度とあるまい、そう思ってふともらう気になったのだった。
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by himenom | 2005-03-07 00:26

重機作業で堰が破損 第十堰のヤナギ伐採

吉野川第十堰の破損の一因となっているヤナギの伐採作業を進めている国土交通省徳島河川国道事務所は4日作業の様子を一般に公開した。その中で、作業に用いた重機によって上堰の一部が割れていることが分かり、同事務所は今後の作業ではさらに配慮する姿勢を示した。

伐採作業は2月28日から開始。木材をチェーンソーで伐採したあと、搬送用の重機で上堰から河川敷の仮置き場まで運んでいる。約百本あったヤナギのうち、すでに50本を伐採。8日頃までにすべての作業を終える予定。6日には一般市民に伐採に参加してもらうイベントを行う。(以上徳島新聞3月5日)

せっかく上堰保全のためにヤナギを刈っているのだから気をつけてほしいものだ。
6日(あす日曜)の伐採は、12時半に南岸の上堰付け根に集合。誰でも気軽に参加できる。これをきっかけに上堰保全の機運が高まればと思う。
天気予報は曇りのち晴。第十堰で春の気配を感じるのも悪くない。
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by himenom | 2005-03-05 10:17

吉野川の河川整備基本方針

河川整備基本方針は河川整備計画とちがって国交省が独占的な決定権限をもっています。「国家的判断の分野」であるため地元の意見を聞く必要がなく、東京霞ヶ関だけで決定できるのです。そうやって全国の一級河川の洪水計画の枠組みが作られ、そこで決められた基本高水流量があとあとまでダム計画を決定づけてきたのですね。

でもなぜ突然でてきたのでしょうか。高すぎると批判の高かった24000トン/秒を昨年の大洪水のデータを取り込むことによって正当化するためでしょうか。それとも4年間かけ声ばかりで進まない河川整備計画に先立ってしばりをかけようというのでしょうか。

もしそうであればどちらもほとんど無意味なことです。これほど従来型の河道主義治水が行き詰まっているのですから、24000トンだろうが30000トンだろうが所詮絵に描いた餅。ひっくり返ってもできるはずがありません。せめて東京でこそこそやらずに現場に堂々とでてきて住民と議論してもらいたいものですね。
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by himenom | 2005-03-03 00:20

05年度中にも策定 国交省、吉野川水系整備基本方針

国土交通省の清治真人河川局長は二十八日、吉野川の河川整備計画策定に必要な計画高水流量などを定める吉野川水系河川整備基本方針について、二〇〇五年度中の策定を目指す考えを明らかにした。衆院予算委員会第八分科会で、徳島県の岡本芳郎氏(四国比例、自民)の質問に答えた。

 岡本氏が、河川整備計画の策定スケジュールを尋ねたのに対し、清治局長は昨年の台風などの影響による新たなデータを取り込みながら基本方針を検討中であることを表明した上で「できれば来年度中には整備したい」と、基本方針の早期策定に努める意向を示した。

 基本方針では、ダムや遊水地などによる人工的な洪水調節が行われていない状態で、流域の降雨が河川に流れ出た場合の最大流量を示す基本高水流量や洪水調節をした後の計画高水流量などを定める。

 清治局長は「基本方針を出した後(今後二十-三十年の整備方針を定める)河川整備計画の原案を作成し、流域のいろんな意見を聞きながら整備計画を策定していくことになる。基本方針ができれば、早期にその作業に入っていきたい」とし、整備計画の策定時期については明言を避けた。           以上 徳島新聞(3月1日)
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by himenom | 2005-03-02 00:57

第十堰老朽化の真実

27日国交省の第十堰の形状把握調査(第2回目の現地説明会)に行ってきた。
参加者は44人。住民だけでなく専門家もちらほら。今回のメインは堰の空洞化調査である。
まずレーダーで目星をつけた場所にコンクリートに穴をあけ、カメラを入れて中を見る。まあ内視鏡で胃の中をのぞくようなあんな感じだ。

調査結果を工事事務所の関谷課長と橋本徳大教授が解説する。以下要約すると、

「昭和40年以降の国が補修した場所(約9割)には空洞化はない。40年以前の補修箇所(約1割)には空洞化はある。だが平成5年の調査時からほとんど進行しておらず、昨年の連続洪水でもあまり変化はない。想像以上に安定度はよい。コンクリート強度も健全。河床も安定しているので隙間を詰めて補修できる。」

さらに翻訳するとこういうことだ。以前は「第十堰は老朽化が進み流失する恐れがある。部分的補修は不可能なので可動堰への全面改築しかない」と考えていた。しかしよく調べてみると補修を必要とする箇所は一部にすぎなかった。しかも傷んだ原因も第十堰ではなくて高度成長期の砂利採掘による河床低下だったので現在は解決している。第十堰の安定度は高い。よって全面改築しなくてもよい。

ぼくは思わず目をつむった。あのときぼくも同じことをいっていたなあ。7年前の「第十堰老朽化b0050788_0302613.jpgの真実」というシンポジウムを思い出したのである。さて3月中に国交省は調査結果をまとめ、次は補修計画づくりにはいる。類例のない文化遺産として、21世紀の河川技術のモデルとして、第十堰にふさわしい補修計画をたてるために、住民はさらにまた一踏ん張りしなくてはなるまい。


                               早春の吉野川堤防
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by himenom | 2005-03-01 00:33