<   2005年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧

北の零年を観た

「北の零年」を観た。凡作でがっかりした。せっかくの渡辺謙や吉永小百合ももったいなかった。「英雄たちの華やかな活躍の裏に名もなき日本人たちのもう一つの歴史があった」というコピーをみて実は密かに期待していたのである。これは徳島の汚名返上のチャンスかも。
 
渡辺謙たちが淡路島を追われる原因となった「稲田騒動」のことである。稲田家は蜂須賀家の家老だが先祖は同格の野武士だった。だから独立の気風が強い。維新のときにも明治政府に分藩運動を起こし蜂須賀とけんかになった。それが稲田騒動だ。

司馬遼太郎は「街道を行く」のなかで「時代の転換期にこれほど愚劣な争いもめずらしい」とあきれている。たしかに幕藩体制から近代国家への革命まっただなかにしては、時代に逆行するというか大きい理想と全く無縁の争いではあった。

司馬さんの語り口は「龍馬がゆく」などのトーンと明らかに違うのである。うーんくやしいけど、龍馬と比べられると、やっぱりはずかしいなあと、徳島人であるぼくは「街道を行く」を読むたびにシュンとなっていたのである。

だけど、うだつの町で有名な脇町の文化は稲田が作ったものだし、明治の自由民権運動でがんばった阿波自由党だって稲田の本拠地の美馬郡一帯が中心だったけどなあ、とぶつぶつ言うことしかできなかった。 

そこへ登場したのがこの映画である。近代国家の歴史からはじかれたゆめや理想の再発見が、ひょっとしてでてくるかも、と楽しみにしていたが、映画は時代考証や人物設定も不十分。みているうちだんだんしらけてきたのはぼくだけだったのか。
けど久しぶりで映画を見れたのはよかった。「北の零年」に感謝。
[PR]
by himenom | 2005-01-28 02:41

第十堰のヤナギ伐採へー国交省徳島事務所

 「吉野川第十堰(ぜき)の破損の一因ともされる樹木について、国土交通省徳島河川国道事務所は二十四日、伐採する計画を発表した。

これまで、市民団体が「堰の破損の原因になっている」として伐採を求めてきたが、同事務所は応じてこなかった。NPO法人吉野川みんなの会は「第十堰の保全へ向けて一歩前進」としている。」(徳島新聞1月25日)

けっこうなことである。
住民がヤナギによる石組みの破損を発見して対策を申し入れたのが、2000年4月8日だから、もう5年目になる。当時の建設省(大平所長)は「壊れている」という事実さえ認めなかった。「旧吉野川への分流に支障がでていないから」というのがその理由であった。屁理屈にさえなっていない。

b0050788_1505674.jpgこうして、上堰の歴史的な石組みは壊れるにまかされた。破損はどんどん大きくなり、各所で水道(みずみち)ができた。来年の台風で流失しかねないぎりぎりのところにきていたのである。

今回やっと「青石張りの破損」という事実が認められた。そして「樹木の影響」という原因も「否定できない」と認められた。遅きに失したとはいえ評価したい。ボタンの掛け違いは、事実を事実と認めるところから、直していけるからである。

「みんなで第十堰の樹木を刈りとろう」という企画もするそうだ。これも悪くはない。
むしろ今後思い切って住民管理にすればよい。ヤナギは一度刈ってもまた大きくなるから継続的な刈り取りが必要になるからだ。こういうことには住民は詳しい。
石組みの補修にも住民の協力が欠かせない。地元には石組みの経験者がいるからだ。

第十堰の石畳は住民管理がよく似合うのである。
[PR]
by himenom | 2005-01-26 02:09

「第十堰は補修できる」 10日国交省の第十堰公開調査

 いまどきの吉野川は寒い。11月には川ガキたちが川に飛び込むくらい暖かいのに、上流の山々が白くなるととたんに寒くなる。東西に流れる吉野川は、西風のかっこうの通り道となるからだ。
 だから冬場吉野川を訪れるひとは決して甘く見てはいけない。ぼくも、見栄えには目をつむって、ぬいぐるみのように着込んでいそいそと第十堰へ出かけたのだった。

 第十堰は、寒風のなか、50人を超える参加者である。推進派の30万人の会の人たちも4~5人来ている。彼らが来ているということは、まだせめぎあいが終わっていないということなのだ、という現実に気づく。でも、なんだかなつかしくなって、「やあ、お元気ですか」と駆け寄ってしまった。

 この日のメニューは、あらかじめ、決めてある12のポイントを順番に歩きながら、職員と徳大工学部教授3人から説明を聞くというもので、まあ、公開調査というよりは説明会である。
 ぼくは、10年間「第十堰補修はできない」と言い続けてきた国交省が、補修のための調査をするというので、いったいどんな説明をするんだろうか、と興味津々である。
 
 結果はなかなかおもしろいものだった。
 いくつかのやりとりを再現しておこう。
 
①「流れるべきでないところがざーざーと漏水している」と職員氏が開口一番。
おなじみの北岸ポイント、第十堰老朽化説の切り札現場の説明である。
すかさず誰かが「ここは堰を締め切るときのヒューム管が埋めてあるのを知らないんですか」
職員氏「・・・」(知らない)
さらに「それで旧吉野川の分水が支障でたんですか」
職員氏「いやそんなことは」

②つぎは「コンクリートにひび割れが走っている」
これまたおなじみの「老朽化現象」である。
やれやれまた昔の話がはじまるのか。うんざりしかけたぼくは、岡部先生に質問した。

「昭和30~40年代の砂利採取との関係はどうなんですか」
岡部氏「空洞化の原因は砂利採取による急激な河床低下です。今はもう安定しています。」

おっ、初めて聞くことばだ。変わった。

コンクリートが専門の橋本先生も言った。
「県管理時代のいぼコン部分と国管理時代の枠コン部分は違います。」
「初期欠陥によるひびわれも適切に対処できる。」

これらは、ずっと住民側が言い続けてきたことであった。
実際、昨年の史上最大の連続洪水にも、第十堰はなんともなかった。
「堰損壊の原因は急激な河床低下。だが昭和40年代の大補修と砂利採掘禁止で第十堰は安定した。だから第十堰は補修できる」
その主張は大洪水で検証され、そしてついに国交省のアドバイザーも認めたのである。

③つぎに見せられたのは南岸の堤防護岸の覆土の流出である。
岡部氏「原因として洗掘か吸い出し崩れが考えられるが、私は崩れだと思う」
ぼく「なにか手当が必要ですか」
岡部氏「必要ありません」

可動堰の根拠のひとつは「深掘れ」。つまり斜め堰のため、洪水の流れが折り曲げられて南岸堤防が洗掘される、と言っていたのだが、岡部先生が「40~50年分の洪水がいっぺんに来た」と形容した昨年秋の大増水でも南岸堤防はなんともなかったのだった。

さらに、堰の中央部の根固めブロックが一部流されていたが、その流された方向は河道に平行であった。洪水の流れは第十堰によって折り曲げられはしなかったのである。

④またさらに新しい事実が明らかになった。
ここ数年、洪水流が上堰方面に突っ込んでくるようになった、と地元の人たちが指摘していた点である。そのため徳島市の伏流水取水施設が流された。もっともそのおかげで堆積土砂が流されて上堰の見事な石畳が発見されたわけだが、このまま放っておくと上堰も危ない。

岡部先生は「六条大橋周辺の砂州が大きくなって固定化したためだ。」と言った。そしてそれは「河道内樹木の繁茂を放置してあったからだ」と続けた。その結果「洪水流は勢いを増してぶつかってくるようになったのだ」というのである。

なるほど23号台風で六条の低水護岸がやられたのもこれが原因だったのか。河原に木が茂ったのはダムによって中小増水をおさえたためであるが、これは計画的な河道管理をすることで解決できることだ。当然しないといけない。
このようにして問題は、第十堰ではないことが、つぎつぎと明らかになってきたのである。

そういえば、旧建設省の模型実験は、河道内に樹木をいっぱいおいて計画高水位を超えるという結果を出していた。住民側は「ならば木を切れば可動堰はいらないじゃないか」とあきれかえったことを思い出した。

もう一度整理をしてみる。
①河床低下と第十堰損傷の関係が明言された。いぼコンと枠コンの違いが明言された。その結果、第十堰は補修できることが明らかになった。
②斜め堰による堤防洗掘は起こらなかった。
③第十堰は治水上の問題を起こしていなかった。むしろ樹木繁茂による砂州固定化が放置できない問題である。
 
 一方で緊急課題も明らかになった。
 国交省が上堰について、ほとんど知識がなく、重要視していない点である。また岡部先生も「個人的にはいらない」との考えだ。他の2人のアドバイザーはコンクリートの専門家である。すると多くの住民が望む青石の第十堰補修というのはどうなるかわからないことになる。
 国交省は3月末までに補修計画をまとめるというので、早急な対応が必要であろう。
 
[PR]
by himenom | 2005-01-11 11:21

2005年の始まりだ

明けましておめでとうございます。
昨年は、天地動乱の幕開けのような出来事が続きましたが、
グチを言うよりも、まずは我が身を動かして元気の素を作ろう、
というわけで、ぼくは新年早々から予定がいっぱいです。

●1月8日(土) 大坂「第6回政策メッセ」に参加します。

河川計画と住民参加-水との付き合い方と政策を考える-
=======================================================
第6回政策メッセ開催のご案内
主催:政策分析ネットワーク
共催:関西学院大学総合政策学部・大学院総合政策研究科
-------------------------------------------------------
日程:2005年1月8日(土)~9日(日)
会場:関西学院大学・大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)
---------------------------------------------------------
ワークショップ(WS):1/8(土)13:45~15:45
---------------------------------------------------------
WS2:河川計画と住民参加-水との付き合い方と政策を考える-
コーディネーター
中川芳江((株)ネイチャースケープ、宝塚市環境審議会委員)
パネリスト
高田直俊氏(大阪市立大学工学研究科/工学部土木工学科教授)
      (大阪自然環境保全協会会長)
池内幸司氏(国土交通省河川局河川計画課河川事業調整官)
姫野雅義氏(NPO法人吉野川みんなの会会員)
松本 誠氏(市民まちづくり研究所所長、兵庫県武庫川流域委員会委員長)

平成9年(1997年)に河川法が改正され、従来、行政計画であった
河川計画に、住民参加が取り入れられた。河川行政の大変革と言われた
新河川法では、住民参加に加えて「治水」「利水」と共に「環境保全」
への配慮も求められている。はたして河川計画のありようは、この7年
間、どこまで進化してきたのだろうか。

--------------------------------------------------------------
*2日間の大会期間中は、他に14のワークショップとシンポジウ
ムと個人の研究発表があります。
会場アクセスは http://member.kwangaku.net/kghub/access.html
大会全体のスケジュール詳細は http://www.policynet.jp/ をご参照下さい

==============================================================

●1月10日(月)国交省の第十堰公開調査はじまる。
http://www.toku-mlit.go.jp/index.html(国交省徳島事務所)
これは、国交省が、昨年4月発表した「よりよい吉野川づくり」
のもとにおこなうものですが、「第十堰補修はできない」と言い続
けてきた国交省がどんな説明をするか、興味津々です。
12時30分 第十堰北岸集合 ~ 16時30分解散

みんなの会は、「第十堰保全案」をもとに第十堰の高い価値と、緊
急補修の必要性を、現地で指摘し説明します。


●あと1月23日第十堰イベント、30日京都 BeGood Cafe の
講演と続きます。
今年が幸多い1年となりますように。
[PR]
by himenom | 2005-01-07 00:00