8月6日(日)晴 住民の意見を聴く会は「吉野川方式」になるのか

きのう徳島市で「吉野川流域住民の意見を聞く会」が開かれた。
吉野川の計画作りの手法は、住民参加のしくみの一環としてここ数年全国的にほぼ定着したかに見えた「流域委員会」を設置せずに、まず国交省が河川整備計画の素案を作成し、これについて「意見聴取の会」を複数回開催して学識者、流域住民、市町村長から意見を聴き、素案に修正を加えながら河川整備計画を策定する、というものである。

この方針は今年5月に発表され、6月にほ計画素案が発表され、7月から住民の意見を聴く会が4回、市町村長の意見を聴く会が3回、学識者会議が1回開かれてきて、昨日の徳島市と今日の四国中央市(愛媛県)で全ての会が一通り開かれたことになる。
国交省は、今年度中にこれらの会を3回ほど行い、素案の修正を繰り返して、計画を作る予定だとしている。そこでぼくは「30年先の吉野川の姿を決めるのだから徹底的な議論をすべきではないか」と質問し、国交省四国地整の舘課長は「回数も時間も制限しない」と答えた。

だがこの日、住民に与えられた時間は1時間あまりしかなく、司会者は、質問を一人2点に制限して国交省との質疑応答をおこなったが、それでも発言できたのは109人の参加者中わずか12人でしかなかった。特筆すべきはほとんどの住民の意見が、地域陳情型ではなかったことである。地域利害からではなく、新河川法の理念に沿った格調高い意見がつぎつぎと続くものだから「レベルの高い会でしたね」と記者さんたちが驚いた。

これに対し国交省の回答は、ほとんど「お聞きしました」に終始し、都合の悪いいくつかの質問では答えず、はぐらかすという対応が目立ち、司会者から「それは違うでしょう」と指摘される場面さえあった。要するに意見は聴くだけで,議論をおこなう誠実な姿勢は見られず,これでは欠陥の多い素案に少々手を入れただけで終わってしまうのではないか,と感じた人が多かったはずである。

ひどいのは,いくら聞いても第十堰の検討方針の説明はしなかったことである。だが何度でも聞く。10年間第十堰は吉野川治水上最大の危険個所と言ってきたのは誰なのか。そんなに危険なら6年間も放置したうえ肝心の整備計画作りに先送りできるはずがない。先送りの理由が2年も前の洪水の基礎的な解析が出来ていないからとは恐れ入る。なぜ第十堰以外が解析できているのに第十堰周辺だけできていないのか。県民を馬鹿にするにもほどがある。

この日,舘課長は「抜本的な第十堰の検討とは30年スパンの問題であり,今回の整備計画に必要な作業である」と答えた。ならば国交省には最低限次の義務がある。まず6年間放置し今回先送りしても第十堰は安全であることを県民の前に説明することである。つぎに現在何を調査しているのか,今後のスケジュールはどうなっているのかを説明することである。これらは河川整備計画の進め方の前提として不可欠の説明である。

この説明を求めた質問に舘課長は答えなかったが,この日の司会をしたNPO法人コモンズの沢田さんは,再質問を禁止した。沢田さんはそつのない見事な司会ぶりであったが,この質問は河川整備計画の進め方の問題であり,いわばボタンの掛け違いが起こるかどうかの大事な問題であるのに,これを禁止したのは疑問と言わざるを得ない。

コモンズは,国交省の委託を受けて,中立・独立の機関として,意見を聴く会の進行方針を決定し運営する役割を担っているのであるから,整備計画に「流域住民の意見を適切に反映させる」ためには,河川管理者が一方的に意見聴取する場ではなく,お互いに議論を積み上げ理解を深めていく場となるよう,会を進行されるべきであろう。

そのためには,今回(1時間しかとってなくて、3回をめどというのにこだわっているように見えた)はともかくとしても,次回からは十分な議論ができる時間を確保することが絶対的に必要であり,言えないひとは用紙に書いて出してほしいなど軽々しくいうべきではない。議論を効率的にかつ中途半端にならないようテーマごとに議論をする場など複合的な運営形態も必要となろう。なによりまずはきのうの意見質問について言い放し聞きっぱなしにならないようデータに基づいた国交省の説明を求めてもらいたい。
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環境保全目標明示を 吉野川整備計画、下流域住民が要望 (8月6日付徳島新聞)

 吉野川水系河川整備計画の策定に向け、国土交通省四国地方整備局は五日、吉野川下流域を対象にした「吉野川流域住民の意見を聞く会」を徳島市内の県建設センターで開いた。

 具体的な環境保全目標や森林整備に関する記述を計画に盛り込むべきだとの意見のほか、流域意見を計画に反映させる過程に住民参加を求める声が上がった。

 百五十人の定員に対し、住民百九人が参加。国交省側が会の運営ルールや整備計画素案の内容を説明した後、一時間余りにわたり、参加者が意見や質問を述べた。

 治水、環境面では「森林が治水、水質に果たしている役割は大きい」と森林整備の重要性を強調する意見が出され、河川改修にとどまらず流域全体で治水を考えるため、農林水産省など他省庁と連携した取り組みを望む発言もあった。

 また自然の状態に近い護岸整備をはじめ、治水と環境保全の調和や、絶滅危惧(きぐ)種の保護で環境保全目標の明示を求める声も出された。

 利水では「新たな渇水対策を具体的に示していない」との批判や、早明浦ダムなどの開発を通じた分水の歴史や分水量の内訳を計画に明示してほしいとの要望も。環境学習など住民の河川空間利用を促す国の施策展開に関しては「理念だけでなく、日常から住民との関係を築く行動や場づくりを明記すべきだ」との指摘もあった。

 一方、整備計画づくりの進め方に対し「住民意見を聞いても意見反映の過程を国交省が一元的に握っていては住民参加といえない」などとする不満が目立ち、住民参加で合意形成を図る流域委員会の設置や意見を聞く会の回数、時間をできる限り多く取るべきだとの提言も出た。

 このほか、今回の吉野川全体の整備計画づくりと分けて検討される抜本的な第十堰(ぜき)対策のあり方に関し「先送りし続けるのは河川管理者として無責任だ」との批判も。同整備局の舘健一郎河川計画課長は、抜本的な第十堰対策をいつから検討するかは明言しなかったが「第十堰対策も今回の整備計画と同様の視野でやっていく」と述べ、今後三十年間を計画対象期間とする形で検討を進める考えを示した。
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by himenom | 2006-08-07 01:56
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