今日の朝日新聞の私の視点に「吉野川整備計画 官主導の動きに危機感」という,武田真一郎さん(成蹊大学法科大学院教授 行政法)の一文が載っている。武田さんは,このなかで「国土交通省は,10年前に戻ったような上意下達方式で計画を進めようとしている」と厳しく批判している。 最近の吉野川の動きを振り返ってみる。 ◆住民・首長・識者別に意見 吉野川整備で国交省、第十堰以外検討(5月24日徳島新聞) 国土交通省四国地方整備局は二十三日、吉野川水系の河川整備計画策定に向け、「抜本的な第十堰(ぜき)対策」に先行して「それ以外の吉野川の河川整備」の検討に入る方針を示し、学識経験者と流域市町村長、流域住民の三者に分けて意見を聞く場を設けると発表した。 ◆「意見反映できない」 吉野川整備国交省方針へ説明求める(6月2日徳島新聞) NPO法人吉野川みんなの会と吉野川シンポジウム実行委員会は一日、吉野川水系の河川整備計画策定に向けた検討の進め方について国土交通省が発表した方針に対し、「流域の合意形成を図り、計画に住民意見を反映させる仕組みになっていない」として、方針の意図や方針決定過程に関する説明を求める申し入れ書を、四国地方整備局に送付した。 ◆吉野川水系河川整備計画の素案を発表(6月24日徳島新聞) 国土交通省四国地方整備局は二十三日、吉野川水系河川整備計画の素案を発表した。計画期間を三十年とし、期間内に対応を目指す目標流量を、三十年に一度の洪水を想定した毎秒一万九千四百トン(阿波市岩津の基準点)に設定。昨秋策定の河川整備基本方針が最終目標に掲げる洪水流量(基本高水ピーク流量)二万四千トンを下回る値とした。また、目標流量を安全に流すために必要な無堤地区の堤防新設や漏水浸水対策の実施区間、内水対策などを盛り込んでいる。 ◆内容が具体的でない 吉野川整備計画素案、意見踏まえ練り直し(6月28日徳島新聞) 国土交通省四国地方整備局は二十七日、第一回の吉野川学識者会議を徳島市内の阿波観光ホテルで開き、吉野川水系河川整備計画素案に対する流域意見の聴取を始めた。 ◆治水対策を早急に 吉野川整備計画、美馬で4首長が要望(7月12日徳島新聞) 国土交通省四国地方整備局は十一日、吉野川水系河川整備計画素案に対する「第一回吉野川流域市町村長の意見を聞く会」を美馬市の美馬福祉センターで開いた。兼西(つるぎ)町長は治水の重要性を強調して「議論を長引かせず、少しでも早く対策の実施に入ってほしい」と述べた。(もうすこし具体的に再現すると,かれは「学識者や住民の議論のテーブルは早いとこ終止符を打ってプロの国交省でやってほしい」と言ったのだった) 国交省は,こういう「意見聴取の会」を,住民,学者,首長,それぞれ3回くらいやって,およそ1年くらいで整備計画をまとめたい意向だという。流域委員会はおかない。 注目河川の吉野川で流域委員会を設置しないというのは,97年改正河川法の欠陥を突いた,あっと驚く国交省の奇策であったが,考えてみればここ数年思い当たる節がいくつもあって,これは住民参加型行政を試行してきた国交省が先祖返りをしたということである。 おかげでこの1ヶ月いい精神修養をさせてもらった。 腹が立った時には10数えよ。ひどく腹の立ったときには100数えよ(ジェファーソン) 怒りは常に愚行に始まり悔恨に終わる(ピタゴラス) 怒りはあたかも猛火のようであって、火を消さなければ自分が焼け死んでしまう(佐藤一斎)
by himenom
| 2006-07-13 01:33
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